4歳でヤマハ音楽教室の見学に行き、どうしても早くピアノを触りたくて
「早くお金を払って!」と母親に言ったのを今でも覚えています。
私はピアノを触るのは好きですが、昔も今も練習は好きではありませんでした。
それでも飽きずにピアノを続けてこられたのは、同じ教室に通っていた子達に負けたくない!という負けず嫌い精神も勿論ありますが、
楽しくレッスンをしてくださっていた先生方や、習っている曲が上手く弾けたら喜んでくれる家族がいたからだったと思います。
そんな私が今でも音楽に、特にクラシック音楽に魅了されている理由は
数百年前の世界にタイムスリップ出来る気分になるからです。
人の手によって今現代まで語り継がれた音楽と出会い、その音楽からその時の時代を遡り、楽譜に書かれている事から作曲者の想いを読み取るのは、まるで当時を生きた作曲家と対話をしている様な気持ちになります。
好きな人の為に作った曲には、想いを寄せる人の名前を楽譜に暗号として忍ばせてみたり
絵が得意だった作曲家は、楽譜の端に絵を描いたり
丁寧に楽譜を書く作曲者や、走り書きする作曲者、筆跡で性格を連想する事も出来ます。
もちろん、それはクラシック音楽には限らず
全ての音楽には作者の想いが込められています。
(よく、普段もクラシック音楽しか聴かないですか?と聞かれますが、クラシック以外にも邦楽、洋楽、ジャズ、合唱曲…特にアニメが好きだったので、今でもアニメソングはよく聴いています)
ただ課題として出された曲を練習するのでは無く、そんなふうに一つの曲と向き合えたら
見える世界はとても広くなるのではないでしょうか。
そしてその時出会った曲を何年か経った後にまた聴く事があれば、その曲は当時の記憶にタイムスリップさせてくれるでしょう。
「芸術は長く、人生は短し」
「音楽は心のタイムマシーン」
坂本龍一さんや、すぎやまこういちさんが遺したこの言葉は、音楽の可能性と奥深さを現しているような気がします。
音楽という言語のいらない彩りの旅を。
私がその旅のお手伝いをさせていただけたなら、とても嬉しいです。
山之内里衣